70代〜80代を迎えられ、「そろそろ終活やお墓、お金の整理について考えようかな」と思っている方、あるいは「高齢の両親がいるけれど、万が一のときの相続や口座の手続きはどうなるんだろう?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。
退職金などを手元に置いたまま、特に使う予定もないという方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、近年利用者が急増している、大切な家族にトラブルなくお金を繋ぐための「お守り」のような制度、「遺言代用信託」について、初心者の方にも分かりやすく解説します!
なぜ「遺言代用信託」が今、増加しているのか?
近年、遺言代用信託の累計受託件数は約26万件に達し、この5年で4割強も増えています。なぜこれほど注目されているのか?
最大の理由は、「人が亡くなると、すぐに銀行口座が凍結されてしまうから」です。
実際にあった大ピンチの事例
ある70代の女性のケースです。
普段の生活費はすべてご主人名義の口座から支払っていましたが、ご主人が亡くなったことを銀行に伝えた瞬間、その口座からお金が一切引き出せなくなってしまいました。
ご自身の口座には数万円しかなく、急な葬儀代はクレジットカードで支払い、当面の生活費は香典で何とかしのいだそうです。
口座凍結のリアル
銀行は名義人が亡くなったことを知ると、親族間のトラブルや不正な引き出しを防ぐために口座をロックします。この凍結を解除するには、亡くなった方の出生からの戸籍謄本や、相続人全員の印鑑証明など、膨大な書類を揃える必要があり、早くても数週間、長いと数ヶ月もかかってしまいます。
つまり、「定期預金はたくさんあるのに、明日の葬儀代200万円が引き出せない!」という事態が普通に起こるのです
僕自身相続手続きをすることも多いですが、「家族のお金なのにすぎに引き出すことってできないの?」と聞かれることも多々あります。その場合でも「相続の手続きが完了するまでは引き出すことができないです」と伝えるしかありません。
この「口座凍結」という高いハードルを、国の認めた安全な仕組みでスルッと解決できるため、いま遺言代用信託を選ぶ人が急増しています。
「遺言代用信託」ってどんな仕組み?
一言でいうと、「私が死んだら、このお金はすぐに妻(または子ども)に渡してね」と、生前に銀行と契約して現金を別枠で保管してもらう仕組みです。
遺言代用信託の主な特徴
・亡くなった後、すぐに引き出せる!
銀行に預けたお金ですが、「信託」という別の枠組みになるため、口座凍結の対象から外れます。そのため、数日以内に家族が葬儀代や生活費として引き出すことができます。
・手数料が基本「無料」
「信託銀行とかの手続きって高いんでしょ?」と思われがちですが、大手の金融機関では、始める際の手数料も、その後の管理費も無料(0円)であることが一般的です。銀行側は、預かったお金を運用した利益から報酬を得ているため、利用者の負担はありません。
・安心の元本保証
株や投資信託のように「値下がりして減ってしまう」リスクはありません。元本がしっかり保証された状態で管理されます。
・受け取り方が選べる
「葬儀代として200万円を一括で家族に渡す」という方法(一時金方式)だけでなく、「毎月の生活費として、妻に月10万円ずつ分割で渡す」という方法(定時定額方式)も指定できます。
元本が保証されているので預かっている側は安心ですよね!遺言代用信託にも中には、投資信託などの組み入れタイプもあるので、そこは注意が必要だと思います。
他の方法(生命保険や家族信託)との違いは?
「家族にすぐ現金を渡す方法なら、生命保険でもいいのでは?」
「よく聞く家族信託とは何が違うの?」
頭がこんがらがってしまいやすいポイントですので、分かりやすくまとめました。
遺言代用信託
初期費用・管理費が無料。 元本保証で、手続きも銀行の窓口で完結。
預けられるのは基本的に「現金のみ」。上限は3,000万円程度が多い。
生命保険 相続税が安くなる「非課税枠(1人500万円)」が使える。
年齢や持病があると加入できない場合がある。途中でやめると元本割れも。
民事信託(家族信託)
現金だけでなく、「実家(不動産)や株」も家族に管理してもらえる。
専門家(司法書士や弁護士)に頼むため、数十万円の初期費用がかかる。
遺言信託
銀行が遺言書の作成から保管、死後の分配までトータルサポート。
遺産全体の整理なので、完了するまでお金は凍結されたままになる。
※名前がとても似ている「遺言代用信託」と「遺言信託」は、目的が全く異なる別物なので注意してくださいね!
個人的には生命保険は、一つの節税対策だと思っています。
実際に使った方がいいのか?
現役証券マンである私の視点から、ズバリお答えします。
「使う予定のないまとまった現金(退職金など)があり、万が一のときに家族に苦労をかけたくない人は、今すぐ検討するべき」です。
特に以下のような方にピッタリの制度です。
- 夫婦二人暮らしで、お互いの生活費口座を分けているご家庭
- 子どもに迷惑をかけず、自分の葬儀代を確実に用意しておきたい方
- 生命保険は年齢や持病のせいで入れなかった方
- 複雑な遺言書を作るほどではないけれど、現金だけはサクッと分けておきたい方
高額な手数料をとられることもなく、大切な現金を「家族が明日使えるお金」に変えておける、非常に費用対効果の高い「お守り」になります。
まとめ
今回は、いま増加している「遺言代用信託」について解説しました。
- 相続が発生すると口座は凍結され、葬儀代すら引き出せなくなるリスクがある。
- 遺言代用信託を使えば、口座凍結に関係なく、すぐに家族へ現金を届けられる。
- 手数料は基本無料で元本保証。生命保険のような加入制限もない。
- 不動産なども任せたいなら「家族信託」、現金だけなら「遺言代用信託」がベスト。
終活や相続対策と聞くと「なんだか難しそう」「うちは大金持ちじゃないから関係ない」と思われがちですが、これは残されたご家族の手続きの負担を限界まで減らしてあげるための「家族への優しさ」です。
せっかくの退職金や大切な資産、銀行にただ眠らせて凍結されてしまう前に、賢く仕分けをしておきませんか?
大切な一歩を、今から一緒に考えていきましょう!!

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