「新NISAでオルカンを買えば正解!」という風潮がある中で、ふと投資信託の人気ランキングを見ると常に上位に鎮座している「世界のベスト」。
実際、僕が証券マンとして営業をしていても、「ランキングにある世界のベストってどうなの?」「オルカンよりこっちの方がいいの?」とお客様から聞かれることが本当に多いです。
今回は、日々多くのお客様のポートフォリオを拝見している立場から、この「世界のベスト」の正体と、オルカンとの決定的な違いをプロの視点で徹底解説します。
1. 世界のベストってどんなファンド?
「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」
愛称「世界のベスト」。
運用会社であるインベスコは、米国を本拠地に世界有数の資産運用残高を誇る独立系運用会社です。
彼らがこのファンドで掲げているのは、「成長」+「配当」+「割安」の3つの観点に着目した投資。これこそが「株式投資の王道」であると考えています。
・投資対象:世界の優良企業(エマージング国を除く)。
・ポートフォリオ:北米が約50%、欧州が約40%強という構成。オルカン(米国が約6割以上)に比べ、欧州の比率が高いのが特徴です。
・運用スタイル:「逆張り」のボトムアップ・アプローチ。市場が一時的に見放しているけれど、中身は素晴らしい企業をプロの目で見極めて投資します。
2. 世界のベストの上位10銘柄を紹介
最新のデータ(2026年3月末時点)を元に、どんな企業に投資しているか調べました。(データは2026年3月末時点)
3iグループ(金融/イギリス):5.40%
イギリスに本拠を置く世界的な投資会社です。主に中堅企業への未公開株投資やインフラ投資に強みがあり、長期的な視点で企業の価値を高めてから利益を確定する、プロ向けの運用スタイルが特徴です。
カナディアン・パシフィック・カンザス・シティ(資本財・サービス/カナダ):5.20%
カナダ、米国、メキシコを繋ぐ巨大な鉄道ネットワークを運営しています。北米大陸を南北に縦断する唯一の鉄道会社として、物流の要(かなめ)を担う非常に参入障壁の高いビジネスを展開しています。
テキサス・インスツルメンツ(情報技術/アメリカ):5.00%
アナログ半導体の世界最大手です。計算を行うCPUなどとは違い、電圧や温度などの現実世界の情報を処理する半導体に強く、自動車や産業機器など、あらゆる電化製品に欠かせない技術を持っています。
友邦保険控股(AIAグループ)(金融/香港):5.00%
アジア最大級の生命保険会社です。中国や東南アジアの成長市場に強固な基盤を持っており、中間層の拡大に伴う保険需要の増加をダイレクトに享受できる成長期待の高い銘柄です。
ロールス・ロイス・ホールディングス(資本財・サービス/イギリス):3.80%
高級車で有名ですが、現在は航空機エンジンの世界シェア2位を誇る巨大製造企業です。エンジンを「売る」だけでなく、飛行時間に応じてメンテナンス費用を受け取るストック型のビジネスモデルが収益の柱です。
コカ・コーラ・ユーロパシフィック・パートナーズ(生活必需品/オランダ):3.80%
欧州やアジア、オセアニアでコカ・コーラ製品の製造・販売を担う、世界最大級のボトラー(瓶詰め会社)です。圧倒的なブランド力と安定したキャッシュフローが魅力のバリュー株です。
デル・テクノロジーズ(情報技術/アメリカ):3.60%
PCメーカーとして有名ですが、現在は企業向けサーバーやストレージ、クラウド基盤の提供で世界をリードしています。企業のDX投資が進む中で、インフラを支える企業として再評価されています。
マイクロソフト(情報技術/アメリカ):3.10%
説明不要のIT巨人ですが、当ファンドでは「成長性」の観点から組み入れられています。OSやオフィスソフトに加え、クラウド(Azure)やAI分野での圧倒的なリーダーシップが評価されています。
ノボネシスB(素材/デンマーク):2.70%
産業用酵素で世界トップシェアを誇るノボザイムズなどが統合して誕生したバイオ企業です。食品、洗剤、バイオ燃料など幅広い分野の生産効率を高める「魔法の粉」とも言える酵素技術に強みがあります。
アケルBP(エネルギー/ノルウェー):2.70%
ノルウェーの石油・ガス開発大手です。世界的に脱炭素が進む中でも、低コストかつ環境負荷を抑えた効率的な石油生産能力を持っており、高い配当能力が魅力の銘柄です。
GAFAM(IT大手)が上位を独占するオルカンとは、顔ぶれが全く違うことに驚くかもしれません。イギリスの金融やカナダの鉄道など、渋いけれど強い企業が並んでいます。
3. オルカンとの決定的な違い:手数料と運用スタイル
最大の違いは、インデックス(指数)かアクティブ(プロの厳選)かという点です。それに伴い、コスト面でも大きな差があります。
・オルカン(インデックス):市場全体を丸ごと買う。手数料(信託報酬)が年率0.05%代と極めて安い。
・世界のベスト(アクティブ):プロが市場に勝てると思った銘柄だけを選ぶ。手数料(信託報酬)は年率1.903%程度。
手数料だけで見ればオルカンが圧倒的に有利ですが、世界のベストはこの「高いコストを払ってでもプロに銘柄を選んでもらう」という対価をどう考えるかがポイントになります。
4. パフォーマンス実績は?
直近5年間の成績(2026年3月末基準)を振り返ると、非常に優秀な数字を残しています。
・トータルリターン(5年累計):約 +126.86%
・トータルリターン(年率):約 +17.8%
一時的な逆風で基準価額が下がる局面もありましたが、長期で見ればしっかりと資産を積み上げています。ただ、やはり手数料が高い分、オルカンと比較する際はそのコストを上回るリターンを出し続けられるかが焦点になります。
5. そもそも投資の意図が違う?(分配金の仕組み)
特に注意が必要なのが毎月分配型という仕組みです。分配金には普通分配と特別分配があります。
・普通分配:運用の利益から出されるお小遣い。
・特別分配:運用益が足りない場合、自分が預けた元本を削って戻されるもの。
資産を雪だるま式に増やしたい時期に特別分配で元本を削るのは、複利の効果を弱めてしまうため、注意が必要です。
6. 結局どっちがお勧めなの?
証券マンとしての結論はこうです。
・資産を最大化したいなら:オルカンで決まり。
資産形成層にとって、複利の効果は絶対です。手数料を最小限に抑えるオルカンが新NISAの最適解です。※世界のベスト(毎月分配型)は新NISAの対象外です。
・分散投資として「併用」するのはあり。
もし既にオルカンを持っていて、さらに分散を効かせたい場合、世界のベストを併用するのは面白い選択肢です。米国一辺倒になりがちなオルカンに対し、欧州やバリュー株(割安株)に強い世界のベストを組み合わせることで、ポートフォリオ全体の安定感が増す可能性があります。
・今の生活に潤いが欲しいなら:世界のベストもあり。
「将来よりも今自由に使えるお金が欲しい」というリタイア世代の方などであれば、分配金を受け取るスタイルも選択肢に入ります。
まとめ
世界のベストがランキング上位にあり、現場でもよく質問を受ける理由は、その高い分配金実績と、長年の運用実績に対する信頼感からです。
資産を増やすことが目的なのか、現金を受け取ることが目的なのか。あるいは分散投資をより強固にしたいのか。
ご自身の目的に合わせて、納得のいく商品選びをしていきましょう。迷ったときは、まず自分の投資方針を再確認してみてください!!


コメント